【2018年】コンサルがすすめるテクノロジーに強くなりたい人が読むべき4冊の本
AI、IoT、デジタル・・。テクノロジーの重要性がこれでもかと強調される時代になってきました。多くのビジネスマンにとって、テクノロジーの概要を理解し、それがどうビジネスに活用できるのか、どうビジネスモデルを変えるのかという点を知りたいといういニーズは高まっているのではないでしょうか。
曲がりなりにもコンサルタントとして、テクノロジーを活用した新規事業創出などを手掛けてきた中で、「この本まじでつかえるわ!助かったあ!」という本に何冊か出会いました。そんな本のベスト4を一挙大公開です。
未来のテクノロジーのロードマップを知りたいならコレ
2100年の科学ライフ
- 【おすすめ度 ★★★★☆】
- 作者: ミチオ・カク,斉藤隆央
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/09/25
- メディア: 単行本
ニューヨーク市立大学理論物理学教授のミチオ・カク氏の著書。超ひも理論の創始者の一人です。といっても難しい物理学の話が中心ではなく、2100年までに実用化されるであろうテクノロジーを学術的な視点と確度にもとづいて解説している本です。特に近未来、世紀の半ば、遠い未来と3つのフェーズに分けてテクノロジーのロードマップを示してくれているのも参考になります。
未来の技術を語る本は、自称未来学者による眉唾なSF本が多い印象なんですが、そういった本とは完全に一線を画しているのがこの本の素晴らしいところです。2012年発売とやや古い本ですが、5年先でなく100年先を見通しているものなので当分はつかえます。
個人的にはこの本を読んで得られた最大の示唆は、ムーアの法則によってハードウェアは安く効率的になっているが、ソフトウェアの開発はエンジニアがしこしことコードを書いて作っている。労働集約的なソフトウェア開発がAIによって代替されたとき、大きな変化が訪れる、という点でした。
・コンピューター(ムーアの法則の未来、脳のスキャンなど)
・人工知能
・医療(遺伝子操作など)
・ナノテクノロジー
・エネルギー(水素エネルギー、核融合など)
・宇宙旅行
といったところです。
テクノロジーのロードマップをつくれ!などと無茶振りされたときには、この本を見れば必ずよい情報を得られるでしょう。
テクノロジーを網羅した辞書ならコレ
世界をつなぐ100の技術 2019年版
ありきたりな情報しかないかな、と見下しているとそんなことはありません。これだけ網羅的に情報を集められている本は他にはないと思います。
これは、1ページ1ページ最初から最後まで読んでいくというよりも、知りたいテクノロジーを見出しから探してそこを読むという辞書的なつかいかたをするのに非常に向いています。
・医療技術
・ビッグデータ
・自動運転車
・フィンテック
・バイオテクノロジー
・エネルギー
・VR/AR
・IoT
・建設テック
・ドローン
といったところです。
もし上司から、「なんかXX業界の新しい技術にどんなものがあるか、ざっくり網羅的に知りたいんだよね」と言われたら迷わずこれを手に取りましょう。
ぜひ目次だけでも参照してみてください。
IoT×製造業を知りたいならコレ
インダストリーX.0
- 【おすすめ度 ★★★★☆】
- 作者: エリック・シェイファー,花岡直毅(監訳),井上大剛
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/08/31
ドイツを中心に提唱され、話題を呼んだインダストリー4.0。IIoT(Industry IoT)等とも呼ばれていますね。IoTが製造業をどのように変革させるのかをアクセンチュアのマネジングディレクターである著者が詳細に解説しています。
この本を素晴らしい点は大きく2つ。
1つは、テクノロジー単体の解説ではなく、テクノロジーによってビジネスモデルがどう変わるのか、といった点まで踏み込んで説明している点です。例えば、IoTによって成果報酬型のビジネスモデルが可能になる、といったことが書かれています。
テクノロジー×ビジネスの勘所を掴むにあたっては非常に参考になる情報が多いです。
2つ目は、事例が多く載っている点です。例えば、成果報酬型のビジネスモデルの事例として、スペインのコメディー劇場が紹介されています。表情をモニタリングし、笑顔を検知し、客が笑った回数に応じて支払い料金が決まる、といったオモシロ事例です。
タイヤメーカーのミシュランの従量課金モデルなど、王道の事例も紹介されており、製造業×IoTの領域での様々な企業の取り組みを知ることができます。
これを読んでおけば、「インダストリー4.0」、「IIoT」、「デジタルツイン」といった話題になったとき、ああ、それでいうとあの企業がこんな取り組みを・・と知見の深さをアピールできるようになることでしょう。
宇宙のテクノロジー・ビジネスの決定版はコレ
宇宙ビジネス入門
- 【おすすめ度 ★★★★★】
- 作者: 石田真康
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本
最後は宇宙の本です。A.T.カーニーのプリンシパルである石田氏による1冊です。
正直いって宇宙ビジネスはこの一冊を読めばオールオッケーです。決定版です。私の上司がそう言っていましたし、東大で航空宇宙を専攻している院生の友達もそう言っていました。
中身もコンサルタントらしい構造となっており、同じコンサルタントとして参考になるところばかりです。素晴らしい。
どんな構造かというと、宇宙ビジネスの全体像⇒市場セグメントと主要プレイヤー⇒先進各国の取り組み状況、という流れです。特に最初に全体像を書いてくれているあたり、わかっていますね。全体像のポンチ絵まであります。感涙。
また主要プレイヤーの先進的な取組が紹介されているのも参考になります。低軌道衛星による衛星通信を展開するOne Web。衛星画像を解析するサービスを提供するOrbital Insight。メジャーどころのベンチャーもしっかり押さえられており、まさに宇宙ビジネスの決定版と言える仕上がりです。
宇宙ビジネス、宇宙テクノロジーを知りたいあなたは迷わず買うべき、いや買わなければならないMustの一冊です。
以上、個人的なベストテクノロジー本4冊でした。AIの仕組みとかが知りたいんだ!という人はごりごりの機械学習やパターン認識の本を読むべきでしょうが、おそらく多くのビジネスマンにとっては、テクノロジーの概要を理解し、それがどうビジネスに活用できるのか、どうビジネスモデルを変えるのかという点を知りたいだろうと思い、この4冊をチョイスさせて頂きました。
みなさまの参考になれば幸いです。