元コンサルがすなるブログといふもの

男もすなるブログといふものを元外資コンサルもしてみん。外資コンサル⇒起業⇒EXIT⇒事業会社でスタートアップのM&AとかM&A先の経営支援のお仕事、みたいなキャリアの人。

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ゼロから始めるファイナンスの勉強 この本から読もう

なぜファイナンスを勉強しようと思ったのか

ファイナンス、皆さんは馴染みあるでしょうか。

この分野のプロとして活躍されている方もいますが、正直あまり馴染みがない人が多いのではないでしょうか。ぼちぼちコンサルをやっている私も、実際ファイナンスについては疎く、昔にうっすらと勉強した簿記の知識が儚い幻となって漂っているような状態でした。

コンサルでも企業のM&Aに関わるような領域では、かなりファイナンスに強い方が多いのですが、私は新規事業の立ち上げや組織改革といった売上とコスト、つまりPLさえ見ていれば何とかなるような世界でばかり生きてきたため、コーポレートファイナンスと言われる分野に接することなく、そして接する必要性も痛感することなく生きてきました。

そんななか、私はとある本を手にしました。

大前研一氏の「企業参謀 戦略的思考とは何か」という一冊です。

大前研一氏は1972年にマッキンゼーに入社され、その後マッキンゼー日本支社の社長、アジア太平洋地区会長まで務めた日本のコンサル市場を立ち上げたレジェンド的な人物でして、その大前氏がマッキンゼーで仕事をしながら取りためたメモノートを一冊にまとめたのがこの企業参謀という本です。

これはこれでめちゃくちゃためになるコンサルのバイブル的な本なんですが、その中にファイナンスから距離をとってぬくぬくしていた私がガツーンと食らった一文がありました。

その文章は、”第1章 戦略的思考入門の5 問題解決成功の尺度となるもの”というパートに記載がある以下の文章です。

企業の本質的目的が生存と成長にあることを考え、企業成長の原動力が利益であることを念頭に置くならば、企業内の問題解決の成否の第一の尺度は、財務情報によってもたらされなくてはならない。(企業参謀, p53)

当たり前すぎて、今さら何?という感じもあると思いますが、コンサルの仕事の成否は財務的な数量数値、もう一歩踏み込めばファイナンスで測られるべきということです。

この後、どのような指標を使えばいいかが記載されていくわけですが、このとき私は自分の仕事をファイナンス的な思考でもって分解し、どのパラメーターをどう上げるからこそ利益が生じるのか、改めて体系立てて理解する必要性を強く感じました。

このときの私の知識レベルは、「これからの時代はROIC経営だね」などと言われても、ピンと来ていない、ROICってほらあれよあれ・・、みたいな残念な状態であったとお伝えしておきます。

私はこの企業参謀の章を読んで、ファイナンス感覚のない自分に非常に強い危機感を覚え、勉強を始めることにしました。

ちなみにこの企業参謀は、大前氏が30歳ちょいのときに執筆されたそうです。化け物です。

[新装版] 企業参謀 戦略的思考とは何か

[新装版] 企業参謀 戦略的思考とは何か

 

 

1冊目は、ざっくりわかるファイナンス

大前研一氏からの喝を勝手にもらいまして、ファイナンスへのやる気を高めた私ですが、正直何から手を付けたらよいかわかりません。

社内の人に聞いたり、よさげな本がないかを探した結果、ありました、タイトルからまさに私みたいな人物のために書かれたような本が。

ざっくりわかるファイナンス~経営センスを磨くための財務~

何かを理解するときは、まず全体感をつかむのが先で、個別の領域の深い理解を進めるのはざっくり全体像をとらえた後にしたほうが効率的です。

 この本は名前の通り、各論に深入りしすぎず、ファイナンスの全体像を明るく照らしていきます。私は、第1章が、会計とファイナンスはどう違う?から始まるのが好きです。

扱うテーマは幅広く、財務三表の説明から、利益重視の欠点、負債コスト、株主資本コスト、CAPM理論、WACCの説明、負債の節税効果、現在価値、会社の値段、投資の判断基準、最適な資本構成とは、といった内容がかなり簡単にわかりやすく紹介されています。

この1冊から始めることで、ファイナンス、ヨクワカラナイ、ヤメル、みたいな状態になるリスクがぐっと下がるのではないかと思います。

 

2冊目は、財務3表一体理解法

ファイナンスと言えば、まずは基本として財務3表をしっかり理解しなくてはなりません。しかし私は、PL人間、BSとCSについては誤魔化し誤魔化し生きてきました。

何となく忌避感を持っていたのは、学生の頃、少し簿記の勉強をした際に、仕訳やら何やらから始まり、「この世にはこんなにつまらない学問分野があったのか」、と思い、簿記を受験することすらさっさと辞めたことに起因しています。

一度、つまらん、無価値、と判断したものを改めて拾い上げるのにはなかなかパワーがいるものです。

そんな私ですら、この本は、「なんだよ、実は会計って面白かったんかい」、と思い直したほどよくできています。何しろ、仕訳が出てこない。笑

会計の専門家になるつもりのない、営業や技術系の人たちにとっては、簿記や仕訳の勉強は興味がわくものではありません。

私の会計勉強法は、この簿記・仕訳をすっ飛ばして、日々の伝票がPL・BS・CSのどこに記入されているかを追いかけていきます。(財務3表一体理解法、p18)

ああ、素晴らしい。メインディッシュの前の青汁が苦すぎて不味すぎて、メインにたどり着く前に多くの人が店を出てしまう、そんなコース料理が鉄板だった会計に新しい光が差し込みました。

正直、財務3表に関してはこの本を読めば間違いないです。

そして私個人としてはこう言いたい。会計の専門家を目指す人以外、簿記なんて受けるの辞めちまえ、この本読んどけ。(この本読んでからなら、簿記ももう少し楽しめたかもしれません。笑)

【増補改訂】 財務3表一体理解法 (朝日新書)

【増補改訂】 財務3表一体理解法 (朝日新書)

  • 作者:國貞克則
  • 発売日: 2016/10/13
  • メディア: 新書
 

 

3冊目は、コーポレートファイナンス 戦略と実践

こちらは言うなれば、ざっくりわかるファイナンスの進化版といった位置づけでしょうか。より企業戦略にファイナンスを近づけた記載が多く、財務情報を活用した企業分析やDCF法による事業価値の算出、M&Aにおける買収金額の決め方、配当の決め方など実務レベルにいる多くの方にとっても興味を持ち続けて読める内容です。

この本の初めに、企業戦略におけるファイナンスの重要性が記されているのですが、これにもなるほどと思わせられました。

なぜ、FAANGFacebook, Amazon, Apple, Netflix, Google)は日本で生まれないのでしょう?

答えは「日本企業の戦略上に圧倒的に欠けている要素があるから」。

それがコーポレートファイナンスです。

いいものを作れば売れる時代は終わりました。絶妙なタイミングで最適な資金調達を行い、大胆かつ緻密に練られた投資戦略を実行する、そうして初めて企業は移り気な顧客に長く愛される存在になります。(p1)

ざっくりわかるファイナンスである程度知識がついている部分は、ささっと読みながら事例研究やより詳細に説明がされている部分にフォーカスして読むと効率的かつモチベーションを高く保って読めるのではないかと思います。

 

4冊目、箸休めのファイナンス思考

3冊目まで読めば、ある程度ファイナンスがわかってきます。

すると、実際に会社を経営している人は、ファイナンスをどうとらえているのかな、ということが気になってきます。そこで手に取ったのが、このファイナンス思考という本でして、著者の朝倉祐介さんは、騎馬騎手養成学校→東大法学部→マッキンゼーミクシィCEO→ラクスル諸々で社外取締役といったキャリアを歩まれています。

経営者、役員として活躍される方が、売上至上主義で事業を進めてしまうとどのような弊害が生じるのか、ファイナンス感覚を持って経営を進めることがどれだけ重要なのか、といったことを説いており、3冊目で紹介した通り、日本企業の伸び悩みの原因はファイナンス感覚の薄さが一因かもしれないと改めて思わされます。

この本には、PL脳という表現がよく出てきて、PLだけを見て事業を考える人が批判されるのですが、私のこと過ぎて刺さりました。

読んで楽しい、箸休め的な1冊です。 

 

これから読もうとしている本(まだ読んでない)

ぶっちゃけ私はまだまだファイナンスの超初学者でして、これからもっと勉強せねばと、そんな決意を新たにしながら、この文章を書いているわけですが、これから読んでいこうと考えている本と勉強プランを最後に書いておきます。

企業価値評価(入門編)

多くの方が、企業価値について勉強するなら、まずはこの本からでしょう、と口を揃えるので早速購入した一冊。企業価値評価は、奥深い分野である分、やる気を暴走させてすさまじく分厚い難しい本をいきなり買って、挫折するという事故がよく起きがちなのではないかと思います。笑

この本は、260ページほどで、かつ入門編ですので大丈夫なはずです。読みます。

企業価値評価【入門編】

企業価値評価【入門編】

  • 作者:鈴木 一功
  • 発売日: 2018/10/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

・ROIC経営

KPMGが出版している一冊でして、近年耳にすることの多いROICを指標とした経営について、ROICの意味性、活用の必要性、機関投資家の期待などが解説されています。

企業価値向上を掲げたものの、それをしっかりマネジメントできる数値に落とし込んで経営を進められている企業が少ないことに大きな課題認識を持ち、そこに対して書かれた本だと理解しています。読みます。

 

ROEが奪う競争力

これは、投資家を喜ばせる経営が価値創造を妨げる!と主張している本でして、少しは批判的な本も読んで視野を広げねばと思い、積読している一冊です。フォロワーさんから教えてもらいました。

ファイナンスを語るうえで頻繁に登場するものにROEの目標水準を8%と掲げた伊藤レポートがありますが、正直私はこのあたりの事情に疎いので、そこを補完したいという思いもあります。読みます。

ROEが奪う競争力 ―「ファイナンス理論」の誤解が経営を壊す

ROEが奪う競争力 ―「ファイナンス理論」の誤解が経営を壊す

  • 作者:手島 直樹
  • 発売日: 2015/09/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

その他

もっと深い学びたい、独学では限界感じる、、という方は、例えば、グロービスの社会人向けのコースでファイナンスを勉強してみる、という選択肢もあるかもしれません。調べてみると、2週間に一度、土日のどちらかといったスケジュールのようなので、社会人でも何とか時間はつくれそうですし、授業料も10万円程度のようです。なお、私は何らかの分野で将来は教える側の人間に回ってやろうと思い続けているので、MBAなどで教える側に回る日のために、MBAには常にうっすら関心があります。

Udemyにも多くの講座が存在しています。例えば、【 財務プロを極める 】エクセルで学ぶ財務三表モデル × 財務戦略シミュレーション、などはExcelを使いながら実際に財務3表の作成していく方式の講座のようです。5.5時間とありますし、これは購入して受講しようと思っています。

他、この本読んだほうがいい、このコースを受講するといいなど、何かしらアドバイスありましたら、みなさんご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします!

積読本が消化できましたら、また感想とともに報告したいと思います。