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コンサルの役職ごとの業務内容はどうなっているのか

みなさんは、バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」は読んだことがあるでしょうか。(私は再読しております)

コンサルは全員読まされる名著であり、「伝えたいキーメッセージを頂点とし、その下をなぜそのメッセージが言えるのかというWhyへの回答で構成したピラミッド構造で思考せよ、記述せよ」ということが説かれた本なのですが、コンサルファームの役職構造もこのピラミッド構造でとらえると、非常に理解しやすいのでは、と思い至りました。

今回は、「コンサルの役職ごとの業務内容・役割はどうなっているのか」、についてピラミッド構造を使いながらの説明を試みたいと思います。

ピラミッド構造の論理展開イメージ
(考える技術・書く技術  p23参考)

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本題の前に、そもそもコンサルはどんな役職構成になっているのか

本題に入る前に、そもそもコンサルファームはどういった役職で構成されているのか、について簡単に説明させてください。(知っている方は読み飛ばしましょう。)

各コンサルファームでは呼び方はいろいろあれど、大きく分けると「ジュニアスタッフ」、「シニアスタッフ」、「マネージャー」、「パートナー」の4つの役職があります。(シニアマネージャーもいるんですが、マネージャーとパートナーの間という以外あまり説明しようがないのでいったん割愛‥)

ジュニアスタッフ

一番下の役職、丁稚奉公期間。新卒でコンサルファームに入ると、まずはジュニアスタッフとして働くことになります。呼び方は、アソシエイト、アナリスト、ジュニアなど各社いろいろな名称がありますが、新卒1~3年くらいはこの一番下の役職で働くことが普通です。

シニアスタッフ

シニアアソシエイトやコンサルタント、といった名称で呼ばれることも多いポジション。新卒3~5年あたりの若手が該当することが多く、一人前の戦力に育った優秀な実務担当者、という立ち位置です。中途採用者は、年齢によってはこの役職からキャリアを始めるケースもあります。

マネージャー

マネージャーから管理職です。早ければ新卒5~6年目からマネージャーとして活躍する人が登場します。1つのプロジェクトの現場責任者であり、プロジェクトで作成した資料や分析結果に責任を持ちます。クライアントへのプレゼンテーションを行う機会も増えます。
マネージャーとして2~4年ほど経験を積むと、シニアマネージャーとなり、複数のプロジェクトのマネージャーを任されたり、新しくプロジェクトを獲得するための提案活動も求められるようになります。

パートナー

ディレクターとも呼ばれたりするポジション。殿上人(天上人)、一番偉い人。パートナーは、自分で新しいプロジェクトを獲得してきて売上を立てる、というセールスの役割が何より求められるようになります。パートナーにいきつくまでには、どんなに早くても10年はかかるのではないでしょうか。パートナーになってからも、天上界では天上界なりのパワーバランスがあり、出世争いと政治的駆け引きは続くという噂。

ピラミッド構造と各役職の紐づき

 本題のピラミッド構造と各役職の役割について、先ほどスライドで示した「企業Aを買収すべきか」というテーマをつかい、もう少し具体的に見ていきましょう。

ピラミッド構造と各役職に求められる役割

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「企業Aを買収すべきか」を検証するプロジェクトが始まったということは、その案件を受注してきた人がいるということであり、それがパートナーです。パートナーは企業の役員と密にコミュニケーションを取り、「貴社の既存事業は10年後には縮小を免れない。その危機感のもと新規事業への参入を試みているが、ケイパビリティが足りてないとお悩みのようだ。企業の買収によって補完することが望ましい、ぜひうちと検討しましょう」などと提案し、案件を受注してくるわけです。まさに”問いを売る仕事”、それがパートナーです。

問いが売れた後には、受注してきたプロジェクトを実際に遂行するチームが必要です。そのチームリーダーがマネージャーであり、実務担当者がシニアスタッフ、ジュニアスタッフです。

マネージャーは、「企業Aを買収すべきか」という問いに答えるための論点洗い出し、仮説ストーリー構築、仮説を証明するための方法の検討が主に求められます。
具体性を増すために、「考える技術・書く技術」をもとに試しに論点を書くと、以下のようなイメージです。このような問いの設定とそれらに対する初期仮説の構築、どのように仮説を証明するかの設計を素早く行い、リサーチや分析、資料作成をスタッフへ割り振りつつ、自分も手を動かし、最終品質を担保する、そんな役割がマネージャーです。パートナーとの議論やクライアントへのプレゼンも担うことになるため、ぐっと責任が重くなります。(過酷です)

論点(例)

・企業Aの成長性は高いか?
 ・マーケットシェアは?
 ・競合は多いか?
・財務メリットはどの程度になるのか
 ・買収にかかるコストは?
 ・既存事業へのシナジーは?
 ・将来の企業価値は?
 ・将来性に対するリスク要因とその確率は?
・買収後の事業統合は容易であるか
 ・企業文化の共通点は多いか?
 ・人材のケイパビリティギャップは存在するか?
 ・システム基盤の統合は可能か?
…etc

シニアスタッフとジュニアスタッフは、マネージャーが構築した論点に対する初期仮説を検証するため、マーケットシェアを調べたり、競合を調べたり、買収に必要なコストを計算したり、企業価値を分析したり、そしてそれをクライアントに報告し納品するために綺麗に資料化してまとめあげたり、といった作業を担います。

シニアスタッフくらいから、自分で論点設計と初期仮説のストーリーくらいつくれないでどうする、マネージャー見据えて取り組まんかい、と詰められるようになります。

1つ上の役職の仕事を奪え、という意味

よくコンサルファームでは、1つ上の役職の業務を積極的に奪いに行け、と言われのですが、先ほどのスライドを見ながら考えるとわかりやすくはないでしょうか。

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スタッフでは、マネージャーが描いたストーリーに沿ったファクト集めと資料作成だけでなく、ストーリー設計にどれだけ絡めるか。集めたファクトをもとに、自分でアップデートしたストーリーをどれだけマネージャーに持っていって、認めてもらえるか。さらには一番最初の初期仮説サマリを勝手に書いてきたので議論させてください、というプレイがどれだけできるかが高評価への近道になります。

マネージャー以上では、”セールス”ということがキーワードになるでしょう。戦略コンサルとして案件を受注してくるのは並大抵のことではありません。クライアントのCEOを筆頭に役員たちの経営課題を以下に深く理解できるか、そして彼らに刺さる提案をできるか。どこの部門が予算を持っているか、キーパーソンは誰か、会食であんなこと言ってたな、といったウェットな営業感覚や信頼関係の構築力といったダークサイドスキルももちろんのこと、彼に任せたら素晴らしい仕事をしてくれる、また頼みたいと思わせるほどの圧倒的に優秀な仕事ぶりが求められます。そういう意味で、マネージャー以上はコンサルとしての難易度が跳ね上がると、私は思っています。

ただ、ここで言いたいのは、コンサルファームの役職構造というのはまさにピラミッド型の思考とそれに基づいた作業遂行を前提とし、そのために最適化された構造になっているということです。ピラミッド型の思考法は、ロジカルシンキングの一つと言ってもいいでしょうから、ロジカルシンキングが個人レベルでなく、会社レベルで染みつき、組織構造や企業文化として定着している、そんなコンサルファームの姿が役職だけ眺めていても浮かび上がっては来ませんか?

最後にめちゃくちゃ本記事で言及した「考える技術・書く技術」はこちらですので、ぜひ皆さんも手に取ってみてはいかがでしょうか。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則