現役戦略コンサルタントが語るブログ

元コンサルがすなるブログといふもの

男もすなるブログといふものを元外資コンサルもしてみん。なんやかんやで今は起業した会社の経営者。

MENU

トーキング・トゥ・ストレンジャーズという傑作

アメリカの超人気ノンフィクション作家のマルコム・グラッドウェルの新作「Talking to Strangers - よく知らない人について私たちが知っておくべきこと」が発売された。いまのところ、私が今年読んだ中では一番の本だと感じている。

グラッドウェルの著作はどれも非常に面白く、1万時間の法則を主張した「天才」でも一世を風靡した。今回の作品は、BLM運動にもつながるテーマについての1作になる。一言でいうと、なぜ見ず知らずの他人を正しく理解できないのか(時には正しく理解できなかった挙句、善良な市民を警察が過剰な暴力でもって制圧し、結果亡くなったりする)、というテーマの本であり、私の常識を覆すようなFactや新たに取り入れるべき考え方、コンセプトが多く、非常に学びが多い一冊だったため、私の学びを備忘録と共有という意味で文章にまとめた。

詳細は本に譲るが、私なりに凝縮したストーリーサマリを以下に記す。

  • 我々は本質的には「見ず知らずの人でもまずは信じてみよう」というデフォルトで信用するというスタンスの精神構造が染みついている
  • 相手がどのような人間かを見分けようとするときには我々は対面で話をしたときの表情・雰囲気・仕草といった情報をより重視する
    • 例えば 採用でも裁判でも対面での会話が何より重視される
  • ただし、これは人は嘘をつくとき、悪意があるとき、好意があるとき、みんな似たような表情をし、似たようなリアクションをするはずという前提の上でなければ成り立たない
    • 極端に言えば怒っているときに笑顔を浮かべる人がいたなら、彼のことを我々は正しく判断できない
  • そして、残念で驚くべきことに当たり前に思える上記の前提はしばしば崩れる。それは異なる文化であればなおさらであるし、同じ文化内でも必ずしもみな感情と表情がステレオタイプ的に画一的なわけではない
    • 隔絶されたトロブリアンド諸島の人々は、欧米人の100%が迷わず喜んでいる表情だ、と解釈する表情の写真について、同じ解釈をしたのは58%にとどまった。笑顔1つとっても表情は世界共通ではない
    • そしてトロブリアンド諸島まで行かなくても、例えば友人が亡くなったときに世間が想定する悲しみ方をしない風変わりな人、というものはあちこちに存在する
  • 我々は、ステレオタイプ的でない人を正しく理解し接することに滅法弱い。善良の皮をかぶった悪人、そして悪人と誤解されやすい善良な人について、その中身を見抜くことが我々は本当に苦手である
  • 善良の皮をかぶった悪人を見分けようと社会が躍起になったとき、実際には我々は悪人と誤解されやすい善良な人を大量に摘発することになりやすい
    • 例えば警察は、軽度な違反者に対しても車を停止させ、車内を確認し、運転手と会話し、さらなる重大な犯罪の兆候がそこにないか探し続けることが強く推奨されるようになっている
  • さらに何件摘発したかという量が重要なKPIとして警察官に課されているため、警察官による職務質問、軽度違反者への取り締まり件数は増え続けており、そのなかで、警察官としては怪しいと感じる行動をとる善良な人物に遭遇する確率は高まっている。そして我々は、そのような人物に対して、本当は善良な人なのだと見抜くことを非常に苦手にしている
  • 過剰に疑われ、善良市民らしくない態度から重大な犯罪を隠している恐れがあるとして警察によって制圧される、そして不幸にも亡くなる人が出るというのは確率的に起こるべくして起こっており、その要因は差別や警察個人の判断ミスにのみ帰着させるのではなく、こういった構造の中で理解され、対策が打たれるべきである
  • 具体的には、犯罪の発生はごく狭いエリアの中で集中的に発生する傾向が強いことがわかってきているため、軽度違反者への徹底的な取り締まりとさらなる犯罪の兆候の徹底追及というアプローチはそのような犯罪ホットスポットのなかでのみとられるべきであり、それ以外の場所でこのアプローチをとり続けると、誤解されやすい善良な人物を締め上げるというデメリットのほうが大きいのではないだろうか

 

この本で特筆すべき点は、無実の黒人が警察による過剰な制圧の末に亡くなったというアメリカを沸騰させている一件について、”差別”というフレームワークよりも更に一つ大きな視点の構造の中でとらえなおし、解釈している点にあると感じる。

そして我々が当たり前だと思っていることが、実は当たり前ではないということ、それによって我々の考え方や対応方法を変える見直す必要があること、これをシャープに伝えている点も素晴らしい。

本自体は長いが、実に素晴らしいストーリー展開で飽きることなく読破できる。サマリでは割愛したが、キューバのスパイの話や酔っ払った末での性交渉の同意の有無、拷問の有効性、世界最大の投資詐欺事件、自殺の手段をなくすと自殺は減少する、など大いに関心をそそられる内容が散りばめられているので、ぜひ皆さんも手に取って読んでみてほしい。

 

コンサルの役職ごとの業務内容はどうなっているのか

みなさんは、バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」は読んだことがあるでしょうか。(私は再読しております)

コンサルは全員読まされる名著であり、「伝えたいキーメッセージを頂点とし、その下をなぜそのメッセージが言えるのかというWhyへの回答で構成したピラミッド構造で思考せよ、記述せよ」ということが説かれた本なのですが、コンサルファームの役職構造もこのピラミッド構造でとらえると、非常に理解しやすいのでは、と思い至りました。

今回は、「コンサルの役職ごとの業務内容・役割はどうなっているのか」、についてピラミッド構造を使いながらの説明を試みたいと思います。

ピラミッド構造の論理展開イメージ
(考える技術・書く技術  p23参考)

f:id:konnyakumaki:20200224021305p:plain

本題の前に、そもそもコンサルはどんな役職構成になっているのか

本題に入る前に、そもそもコンサルファームはどういった役職で構成されているのか、について簡単に説明させてください。(知っている方は読み飛ばしましょう。)

各コンサルファームでは呼び方はいろいろあれど、大きく分けると「ジュニアスタッフ」、「シニアスタッフ」、「マネージャー」、「パートナー」の4つの役職があります。(シニアマネージャーもいるんですが、マネージャーとパートナーの間という以外あまり説明しようがないのでいったん割愛‥)

ジュニアスタッフ

一番下の役職、丁稚奉公期間。新卒でコンサルファームに入ると、まずはジュニアスタッフとして働くことになります。呼び方は、アソシエイト、アナリスト、ジュニアなど各社いろいろな名称がありますが、新卒1~3年くらいはこの一番下の役職で働くことが普通です。

シニアスタッフ

シニアアソシエイトやコンサルタント、といった名称で呼ばれることも多いポジション。新卒3~5年あたりの若手が該当することが多く、一人前の戦力に育った優秀な実務担当者、という立ち位置です。中途採用者は、年齢によってはこの役職からキャリアを始めるケースもあります。

マネージャー

マネージャーから管理職です。早ければ新卒5~6年目からマネージャーとして活躍する人が登場します。1つのプロジェクトの現場責任者であり、プロジェクトで作成した資料や分析結果に責任を持ちます。クライアントへのプレゼンテーションを行う機会も増えます。
マネージャーとして2~4年ほど経験を積むと、シニアマネージャーとなり、複数のプロジェクトのマネージャーを任されたり、新しくプロジェクトを獲得するための提案活動も求められるようになります。

パートナー

ディレクターとも呼ばれたりするポジション。殿上人(天上人)、一番偉い人。パートナーは、自分で新しいプロジェクトを獲得してきて売上を立てる、というセールスの役割が何より求められるようになります。パートナーにいきつくまでには、どんなに早くても10年はかかるのではないでしょうか。パートナーになってからも、天上界では天上界なりのパワーバランスがあり、出世争いと政治的駆け引きは続くという噂。

ピラミッド構造と各役職の紐づき

 本題のピラミッド構造と各役職の役割について、先ほどスライドで示した「企業Aを買収すべきか」というテーマをつかい、もう少し具体的に見ていきましょう。

ピラミッド構造と各役職に求められる役割

f:id:konnyakumaki:20200224021324p:plain

「企業Aを買収すべきか」を検証するプロジェクトが始まったということは、その案件を受注してきた人がいるということであり、それがパートナーです。パートナーは企業の役員と密にコミュニケーションを取り、「貴社の既存事業は10年後には縮小を免れない。その危機感のもと新規事業への参入を試みているが、ケイパビリティが足りてないとお悩みのようだ。企業の買収によって補完することが望ましい、ぜひうちと検討しましょう」などと提案し、案件を受注してくるわけです。まさに”問いを売る仕事”、それがパートナーです。

問いが売れた後には、受注してきたプロジェクトを実際に遂行するチームが必要です。そのチームリーダーがマネージャーであり、実務担当者がシニアスタッフ、ジュニアスタッフです。

マネージャーは、「企業Aを買収すべきか」という問いに答えるための論点洗い出し、仮説ストーリー構築、仮説を証明するための方法の検討が主に求められます。
具体性を増すために、「考える技術・書く技術」をもとに試しに論点を書くと、以下のようなイメージです。このような問いの設定とそれらに対する初期仮説の構築、どのように仮説を証明するかの設計を素早く行い、リサーチや分析、資料作成をスタッフへ割り振りつつ、自分も手を動かし、最終品質を担保する、そんな役割がマネージャーです。パートナーとの議論やクライアントへのプレゼンも担うことになるため、ぐっと責任が重くなります。(過酷です)

論点(例)

・企業Aの成長性は高いか?
 ・マーケットシェアは?
 ・競合は多いか?
・財務メリットはどの程度になるのか
 ・買収にかかるコストは?
 ・既存事業へのシナジーは?
 ・将来の企業価値は?
 ・将来性に対するリスク要因とその確率は?
・買収後の事業統合は容易であるか
 ・企業文化の共通点は多いか?
 ・人材のケイパビリティギャップは存在するか?
 ・システム基盤の統合は可能か?
…etc

シニアスタッフとジュニアスタッフは、マネージャーが構築した論点に対する初期仮説を検証するため、マーケットシェアを調べたり、競合を調べたり、買収に必要なコストを計算したり、企業価値を分析したり、そしてそれをクライアントに報告し納品するために綺麗に資料化してまとめあげたり、といった作業を担います。

シニアスタッフくらいから、自分で論点設計と初期仮説のストーリーくらいつくれないでどうする、マネージャー見据えて取り組まんかい、と詰められるようになります。

1つ上の役職の仕事を奪え、という意味

よくコンサルファームでは、1つ上の役職の業務を積極的に奪いに行け、と言われのですが、先ほどのスライドを見ながら考えるとわかりやすくはないでしょうか。

f:id:konnyakumaki:20200224021344p:plain
スタッフでは、マネージャーが描いたストーリーに沿ったファクト集めと資料作成だけでなく、ストーリー設計にどれだけ絡めるか。集めたファクトをもとに、自分でアップデートしたストーリーをどれだけマネージャーに持っていって、認めてもらえるか。さらには一番最初の初期仮説サマリを勝手に書いてきたので議論させてください、というプレイがどれだけできるかが高評価への近道になります。

マネージャー以上では、”セールス”ということがキーワードになるでしょう。戦略コンサルとして案件を受注してくるのは並大抵のことではありません。クライアントのCEOを筆頭に役員たちの経営課題を以下に深く理解できるか、そして彼らに刺さる提案をできるか。どこの部門が予算を持っているか、キーパーソンは誰か、会食であんなこと言ってたな、といったウェットな営業感覚や信頼関係の構築力といったダークサイドスキルももちろんのこと、彼に任せたら素晴らしい仕事をしてくれる、また頼みたいと思わせるほどの圧倒的に優秀な仕事ぶりが求められます。そういう意味で、マネージャー以上はコンサルとしての難易度が跳ね上がると、私は思っています。

ただ、ここで言いたいのは、コンサルファームの役職構造というのはまさにピラミッド型の思考とそれに基づいた作業遂行を前提とし、そのために最適化された構造になっているということです。ピラミッド型の思考法は、ロジカルシンキングの一つと言ってもいいでしょうから、ロジカルシンキングが個人レベルでなく、会社レベルで染みつき、組織構造や企業文化として定着している、そんなコンサルファームの姿が役職だけ眺めていても浮かび上がっては来ませんか?

最後にめちゃくちゃ本記事で言及した「考える技術・書く技術」はこちらですので、ぜひ皆さんも手に取ってみてはいかがでしょうか。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
 

 

コンサルが社会人の自己分析フレームワークを考える

社会人になってほどほどの年数が経ち、その年数の中でプロモーションも経験させてもらいました。一方で 転職する同僚も多く、改めて今後の自分のキャリアについて時間のある正月に考えました。

キャリアについて考えるにあたっては、自分が何によって幸せ・充実感を感じるのか、という自己分析が大切ですが、以前から私は充実感をもたらす構成要素は、「内的な充実度」と「外的な充実度」、この2つの要素に因数分解できると考えていたので、それについて書きたいと思います。

内的な充実度と外的な充実度とは

内的な充実度とは、知的好奇心が満たされ満足を感じる、できなかったことができるようになり満足を感じる、など外部・第三者の評価に関係なく感じる満足のことを指します。

それに対して外的な充実度とは、高い給料、会社での昇進、社会的な地位や名声など外部からの評価によって得られる満足のことを指します。私はビジネスパーソンの幸せや充実度は主にこの2つの足し算によって構成されていると考えるのが簡単で整理しやすいのではないかと思っています。

充実度の方程式

充実度=α(内的な充実度)+β(外的な充実度)

α>β:内的重視型

β>α:外的重視型

内的重視型の人は、学者・研究者・職人などに向いているでしょう。外的重視型の人は、歩合制の営業マン・起業家などに向いていそうです。 

内的重視型と外的重視型、どちらがいいかという問いには正解はないと思っています。私自身はかなりの内的重視型なので、外部に左右されず幸せになりやすい内的重視型を推したいのですが、ゴリゴリの外的重視型で貪欲に成功をつかみとっている人も多いですし、これは性格の問題で「正しい/正しくない」の設問設定自体にあまり意味がないでしょう。

シンプルに自分の幸せに影響を与える重要度の大きい構成要素は何か、内的・外的の2軸のフレームワークで考えるのは整理しやすくないですか、という提案です。

*Think Clearlyは幸せになるコツが論理性を失わずに書かれている稀な本です。自己分析や自分の生き方を振り返る際のお供にお勧めです。

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法
 

自分のパーソナリティをどのように判断するか

内的な充実度・外的な充実度という概念があるとして、自分はどちら重視型なのか、どのように判断すべきでしょうか。ありきたりですが、普段の生活や仕事をしている中で何に充実を感じたか、という観点で洗い出しをしていくことが有効だと感じています。

これは就活時の反省なのですが、当時は「社会課題の解決・グローバルな活躍・テクノロジーで社会を変える」など高尚なコンセプトや理想を振りかざしすぎ、ボトムアップで自分の幸せを構成する要素の洗い出しを重視しなかったということがありました。

改めて自分の幸せ要素を洗い出すと、

  • 新しい知識を得られたときに大きな喜びがある(内的)
  • 自分で面白いストーリーを思いついたときに大きな充実感がある(内的)
  • 自分が面白いと感じたことを広く他者にも共感し認められてもらったときに大きな喜びがある(外的)
  • 給料も高ければ嬉しい(外的) 

などといった要素があり、一言で言えば「いろんなことを追及して新しいことを知ったうえで付加価値を加え、それをわかりやすく伝え広く認められること+お金」が私に充実感をもたらすプロセスと言えそうです。前半が内的、後半が外的要素です。

特に前半部分で私は結構充実を感じるので、内的な知的好奇心を満たす活動にどれだけ工数を割けるかが私の日常的な充実KPIとして重要です。

私が自身のキャリアのなかで候補に挙がって迷った職種には、経済学者、シンクタンクの研究者、書籍やビジネス誌の編集者、経営コンサルタント、国際機関の職員などがあったのですが、国際機関の職員を除けば上記のプロセスが仕事において登場してくる職種であると言えます。逆に言えば、国際機関の職員を目指した際には高尚な考えに洗脳されすぎ、自分の幸せをコツコツ積み上げる要素を軽視していたと言えます。

編集者も後半の「まわりにわかりやすく伝え認められること」にはフィットしますが、比重の高い前半が少し物足りない気がします。編集より自分で本や記事を書いた方が向いているかもしれません。

コンサルは前半に特にフィットしますが、自分の考えを広く伝えて認められる、という広さがそれほどありません。私の場合、これをこんなブログやTwitterでの発信で補っているというわけです。将来的にも内的な探究活動に工数を割くことが許される職業を選びつつ(結構コンサルでも満足)、まわりへの発信力を強めていくというのが私の充実度を最大化するための基本方針になりそうです。

こういったように内的・外的どっちかなというフレームワークで自己分析を進めると私の場合は、自分への理解が進みました。国際機関の職員はあまりフィットしないかもしれないな、といったように消去法的に実は向いていない職業を見極めることにもつながり、転職にあたっての軸にも使えるかと思っています。

後半は自分語りになって失礼しましたが、シンプルで使い勝手がいいフレームかなと思いましたので、ここまで書き連ねました。年を重ねるにつれて充実度の構成要素とそのWeightも変わるでしょう。年に何回かはこんなフレームワークをつかいながら充実度方程式の点検をしようかなと思っています。

皆様にとっても多少なりの参考になれば幸いです。

いつかコンサルが経営者の頭を乗っ取る日

以前から考えていた問いに

「コンサルが導き出す答えはチームやパートナーによって異なってしかるべきなのか、あるいは誰がリードしようとも一つの最適解へと収束するべきなのか」

というものがありました。この問いを深掘って考えたところ、最適解を導出することが基本であったコンサルは、まさにいま個人の色のある答えを出す存在へと変わろうとしているフェーズにいるのではないかと思い至りましたので、そのストーリーを綴りたいと思います。

コンサル1.0 「最適解を出すロジカルマシーン」

コンサルの問題解決の方法の基本は、ロジックです。したがって、正しいアプローチで正しいロジックを展開すれば経営課題に対する答えは1つの最適解に収束しうるはずです。チームによってだどりつく答えが違うとしたら、それはロジックが間違っているか、参考にした情報が間違っているか、といった議論になるはずです。

市場規模と成長率と競争の激しさとクライアント企業へのシナジーから考えて、XX領域に進出するのが最適である。

もしAチームとBチームで答えが違っていたら、参考にした市場規模の数値が違っていた、あるいはAチームでは競争の激しさを考えていなかった、という点でその差異が説明できる、というイメージです。

初期の外資系コンサルは、欧米発のロジカルな思考法と分析力で最適解を導出する、そういった存在だったのではないでしょうか。

コンサル2.0 「寄り添うカウンセリング型コンサル」

最近、コンサルファームで常駐型のプロジェクトが増えている、という声を聞いたことはあるでしょうか。定量的な情報は持ち合わせていませんが、定性的な印象ではこれは確からしく感じています。

常駐型とは、クライアントのオフィスにその名の通り常駐し、親身に寄り添うスタイルのプロジェクトです。非常駐型は、コンサル本社に勤務して週に何回かクライアントと会議をするような進め方です。

常駐型のプロジェクトは、「寄り添うカウンセリング型コンサル」と呼ぶのがふさわしいように感じます。

あなたが困っているのはこれで、こういうことがやりたいのではないですか?こういった内容を役員には報告したいのですよね?ロジックの通った美しいストーリーにして語れるようにしましょう。美しい資料もセットでつくりましょう。(下っ端コンサルは資料作成ばかりするので、高級万年筆、などと揶揄されたりします)

コンサルとしては、寄り添う相手を、部長より本部長、本部長より役員、役員より社長、と可能な限りレイヤーを上げていくことが基本戦略です。

ここでのコンサル像は冷徹なロジカルマシーンではなく、クライアントの経営層が何を考えているのか、どんな考えを好むかを徹底的にインストールし、それに合わせて綺麗なストーリーをつくりあげる、そういう存在です。コンサル言いたいことドリブン、からクライアント言いたいことドリブンに重心が移っている、と言ってもいいかもしれません。

個人的には、こういったプロジェクトはまさに近年増えている印象があります。

コンサル3.0 「経営者の頭を乗っ取るコンサル」

ここからは私の妄想も多分に含まれます。

コンサル2.0の寄り添い型コンサルでは、大きく2つの重要なアセットが構築されます。クライアントの経営層が好む考え方がインストールできること、そして経営層からの信頼を得られることです。

コンサルとして、これをやるべきだ!と思い至っても、それを話す先がなければ何の意味もありませんが、上記の2つのアセットがあれば、経営層にその考えを話すことができます。経営者が好みそうなテイストに味付けまでして。つまりコンサルの考えを企業に直接送り込む、太いパイプをつくることがコンサル2.0フェーズの役割です。

一方で、ここ数年でしきりに聞く経営テーマに、「ディスラプターが想像を超えるスピードと頻度で登場して業界構造を変える今、従来のありきたりなロジックでは未来を語ることは限界、答えのない問いが増えている」というものがあります。

各ファームはこのテーマへの対応策として、右脳思考・デザインシンキング、といったアプローチも試していますが、要するに個人の色のある、ロジックよりカリスマ性を感じられるようなストーリーで経営方針を語りたい、ということでしょう。

ロジックベースのストーリーであれば、信頼のおけない外部の人間がのたまうことでも、ロジックが信頼できれば信じられます。個人色のあるストーリーはどうでしょうか。従来よりも信じることが難しくはないでしょうか。

このフェーズで重要なことは2つになります。1つ目は個人色のある面白いストーリーを考えられる人材がいること、2つ目はその面白いストーリーをクライアント企業に送りこめる太いパイプ(コンサルを信頼して話を聞く経営層)が存在していること、です。

「コンサルの君から話を聞いて、まさに私はそんなことがやりたかったのだと、そう思えてきたよ。」、経営者の頭に違和感なく溶け込むような味付けに整え、プレゼンし、最後にこう経営者から言ってもらえたらコンサルの勝利です。

大企業の大方針をコンサルが決めにかかる、コンサルとしてはこれ以上なくワクワクする仕事ですし、こうなれば多くの実行プロジェクトも走らせることができ、マネタイズとしてもうまくいくでしょう。

常駐型プロジェクトで疲弊しているコンサルのみなさんは、カウンターパートのお偉いさんの考え方、好みを徹底的に理解し、そのプロトコルに合わせてこちらの考えを伝え、納得してもらう、まずはここをゴールにしたら道が開けるかもしれません。ここができるようになれば、コンサルが彼らの頭を乗っ取る日も近いのです。(事業会社で生き抜くための最強の戦い方でもある気がしていますが。笑)

 

クライアント企業としてはどうでしょうか。経営者の後ろにコンサルが透けて見えるようになったとき、それは企業としてあるべき姿なのでしょうか。それはその企業を成功に導くのでしょうか。まだ私にはわかりません。考えが深まったらまた書きます。

 

後半は随分と大きな風呂敷を広げてストーリーを語りました。共感できた部分はあったでしょうか。ストーリーが破綻している箇所はあったでしょうか。

やはりコンサル2.0・常駐型プロジェクトはそんな大げさな話ではなく、増えた人員を放り込んでカネを稼ぐには行き先としてちょうどいいから増えて注目されてるだけでしょうか。そこに長期戦略はないのでしょうか。

みなさんの議論のきっかけにして頂き、その議論の声を聞くことができれば望外の喜びです。

それでは。

 

PS

こんな本もありますね。

コンサル一〇〇年史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

コンサル一〇〇年史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

 

 

戦略コンサルでクビにならないために心掛けた10のこと

多くの戦略コンサルファームの共通点に、数年以内に昇進できないとクビになる、というものがあります。リアルに「You are Fire」と面と向かって言われることは稀かもしれませんが、評価の悪い人はプロジェクトアサインのお声がかからなくなる、といったことはよくある光景です。

新卒で入社したとき、せめて最初の昇進のハードルは超えたい、クビにはなりたくないと思っていました。新たにコンサルファームに入られる方もそこを最初のマイルストンにおいていることが多いのではないでしょうか。

今回は、私が入社以来、上司に怒られ怒られ蓄積された、これだけは心がけておくべき10のこと、を自身への反省を兼ねてまとめましたので参考にしていただければ幸いです。

この本も参考になります。

コンサル一年目が学ぶこと

コンサル一年目が学ぶこと

 

 

今回の記事の目次はこちら。

  1. 会議は録音して聞き込め
  2. クライアントのぼそっとした一言を聞き逃すな
  3. MTG中に何を発言するか考えているのは遅い
  4. MTG後、すぐにラップアップしよう
  5. ストーリーのサマリを書こう
  6. 要望には一回、従順に従おう
  7. 言われてから追加するのではなく、言われる前に必要か相談しよう
  8. 三十秒レビューをもらおう
  9. 指摘はその場で可能な限り直す。PPTなら指摘を該当ページにメモしろ
  10. 「面白い」の目線を経営者と合わせよう

1. 会議は録音して聞き込め

入社して最初に感じたハードル、それは

「議論展開が早すぎて何言ってんのかついていけない」

特に自分がアサインされるタイミングでプロジェクト開始から既に半年ほど経っている、なんてケースでは今までの背景知識あっての議論のため、ますますついていけません。謎の社内用語や謎の「3月に山田さんがつくったあの資料」など。

そんな状況でのキャッチアップにおいて一番効率的なのは今のMTGを徹底的に聞きこむではないかと思っています。MTGの中でわからなかった単語、議論、関係者の名前などをとにかく洗い出し、周りに聞いたり過去資料を読みこむ。

そのためにも入社初期、プロジェクトアサイン初期はMTGを録音して聞きこむことが有効だと思っています。段々と議論のスピードにも慣れてくるので。

iPhoneの録音がおすすめです。

2.クライアントのぼそっとした一言を聞き逃すな

クライアントとのMTG中、ぼそっとクライアントが漏らす一言があります。

「有望業界はXXか。うちってXX業界のお客さん多かったかなあ」、みたいなイメージです。こういう一言、結構大事でしてその一言に寄り添うことができればクライアントからの信頼感が増します。

「前回のMTGでは、市場規模と成長率から有望業界を絞りました。今回は御社と接点のある企業数という軸も加えて分析してみましたが、XX業界は御社と接点のある顧客も多く、その意味でも有望と言えます」というひと手間が刺さったりします。

頭の良さだけでなくこういった寄り添い力も大事です。特にコンサル、なんて情が薄そうなイメージのある我々だからこそより大事にすべきことかもしれません。

3.MTG中に何を発言するか考えているのは遅い

コンサルになると「会議中に発言しないなら、お前は無価値だ」と散々教育されるでしょう。しかし会議中にぽんぽんと鋭い質問を思いついて発言していくなんて、天才の技です。ホリエモンとかその才能があります。

私のような凡人は、MTG中に天賦の才が開花することを期待するのではなく、あらかじめMTG中に論点になりそうなこと、その落としどころ、そこにもっていくために納得させないといけないポイント、想定される質問と答え、あたりを考えておきます。

自分が仕切るMTGを小さな討議でもいいのでこなすようになると、これらをかなり本気で考えるようになります。そうなるとMTG中にどんどん発言するようになります。

MTG中に発言できないのは、MTG中の問題ではなく、MTG前の問題です。

4. MTG後、すぐにラップアップしよう

どんなに会議を聞き込んだつもりでも会議の後にマネージャーと話していると「え、クライアントそんなこと言ってました?」や「あれ、それってそんな意味でしたか」という認識の齟齬が生じがちです。

MTGが終わった後、10分でもいいのでチームでMTGの振り返りの打ち合わせをしましょう。今回解消できた論点はどこで、解消できなかった論点、新しく出てきた論点は何か。最低限、ここまでは合意しておきたいところです。

ここがずれていると、MTG後の作業が無駄になるリスクが高まります。MTG直後にやってしまうのが楽で合理的なのでお薦めです。

5. ストーリーのサマリを書こう

ラップアップで、今回解消できた論点と残論点を握れたとしましょう。次は、残論点に対してどのような方針でいくのかを考える必要があります。

残論点、それを解くために答えるべきサブ論点、サブ論点に対する答えの仮説、その仮説の正しさを示すために必要なファクト、そのファクトをどう集めるか。これらを設計して役割を振るのがマネージャーなわけですが、アソシエイトやアナリストがやろうとして怒られることはありません。

MTG直後は、若手スタッフ的には比較的時間にゆとりがある場合が多いです。
「サマリ書いてみるので夕方のMTGでそれを叩きに方針討議させてください。」
この発言が出てくるならイケてる若手感が半端ありません。

私ももっとサマリ書き、頑張ります。

6.要望には一回従順に従おう

クライアントMTGや社内のMTGを経ると、あれを調べてほしい、このコンテンツがほしい、といったリクエストが出てきます。いや、それを調べても無駄なんじゃないか、もっとこっちを調べたほうがいいんじゃないか、と感じることもあるかもしれません。

特にクライアントからのリクエストの場合ですが、私のわずかな経験からはそのリクエストに答えてもあんまり意味ない・・と思っても一度従順に応えたほうがよいと結論が出ています。

以前、パートナーが「コーヒーが飲みてえと言ってるやつに、絶対紅茶の方が美味しいので紅茶持ってきました、て言っても怒られるだけなんだよ。一度まずくてもとにかくコーヒーをつくって飲ませる、そのあとに紅茶のが美味しいと思うんですが、ってもっていかないと人は納得しない」と言っており、これは本当にその通りだと思います。

まずいコーヒーつくるのが美味しい紅茶を飲ませる最初の工程です。

7.言われてから追加するのではなく、言われる前に必要か相談しよう

A社の事例に加えて、B社の事例も入れておいた方がいいような気がするけれど、リサーチ時間かかりそうだし、出来ればやらずにこっちのパートに時間を割きたい・・。いったんB社は入れずにレビューいくか。

このようなケース、しばしばあると思うのですが、こういうときは「B社の事例も入れてよ」と上司から言われるより、「B社もできれば入れたいんですが、こちらのパートにリソースを割きたいと思っていて、優先順位相談させてください」と先手を打った方が絶対にいい流れになります。「B社も入れてよ」と言われるとそのあと、「できれば入れたいんですが、こっちのパートに・・」などと言っても言い訳がましくなります。

とにかく先手・先手で議論において劣位になるのを避けることが重要です。

8.三十秒レビューをもらおう

 マネージャーから指示をもらって動く場合、数時間後か半日後か、どこかのタイミングでレビューをもらうことが多いかと思います。そのレビューできちんとマネージャーの期待値を超えるものを出せれば、どんどん評価が上がっていきます。

以前中途で入ってこられた先輩にレビューまでとにかく一生懸命仕事をするも、レビューではマネージャーに「ちょっと違う」、「想定とずれている」と言われがちな人がいました。その人は、レビューまでマネージャーとの会話はほぼなく、本番1本勝負でした。

半日後にレビューポイントがあるからと言って、それまで相談していけないと決まったわけではありません。30秒でいいんです。何かのついでに「ここなんですが、こんな感じで資料作ろうと思ってるんですけど、認識合ってますかね」とちょいちょいマネージャーの30秒レビューを混ぜることで大滑りをなくせます。

半日後のレビューで、どちらがいいアウトプットを出せているか。成果主義とはプロセスではなく、成果で評価されます。マネージャーに頼らずにできたから偉いね、とはなりません。徹底的にうまく上司をつかいましょう。

9.指摘はその場で可能な限り直す。PPTなら指摘を該当ページにメモしろ

レビューでは、ここをこうしてほしい、ああしてほしいと次々と指摘が入ります。チマチマとノートにメモを取っていっては追い付きません。

PPTに対するレビューであれば、ちょっとした指摘ならその場で直すのが吉です。時間のかかる修正は、指摘を受けたスライドに目立つ色で直接メモをとりましょう。

あそこの文言変えといてって言ったのに変わってないじゃん。

こういう大したことないような修正でも指摘したことが直っていないというのは、めちゃくちゃ噛みつかれます。特にクライアントにやたら面倒くさいお客さんがいた場合(コンサル嫌いのお局さんみたいな人が一番やっかいです)、鬼の首をとったかのように嬉々として指摘を始めます。

そんな本質的でないことで評価を下げないためにも、修正漏れがないようにスライド自体にどでかく、黄色塗りつぶしに赤字とかでメモを取るのが大事です。

10.「面白い」の目線を経営者と合わせよう

「この会社面白いんですよ」「へー、どこが面白いの」「顔認証でこんなことやあんなことまでやってるんですよ」「んー、50点」

昔こんな会話を仲の良い上司とした記憶があります。経営者は、「その会社はどうやって儲けているのか」の1点に面白みを感じます。すごい技術をつかっていることに面白みを感じるのではなく、それをどうつかって金を稼ぎ出しているのかに面白みを感じます。似て非なるものです。

新規事業、コストカット、社員の育成などなど、経営者はどこにその目を向けているのか、その中でどんな話が面白いと思ってもらえるのか。「面白い」のレベルを経営者に合わせることが戦略コンサルとして必要不可欠なことでしょう。

普段から経営者は何に関心を持っているのか、日経ビジネスや中期経営計画でもいいのでアンテナを張っておくことが大事かと思います。

 

以上、10の心掛けをコンサルで働かれる方に向けて語ってみました。コンサルでの仕事を想定して書きましたが、コンサルを初め、世の中の多くのビジネスパーソンにとって参考になるところが少しでもあれば幸いです。

コンサルが実践するリサーチのコツ

先日、「リサーチのコツを教えてください」という質問をされました。
戦略コンサルとして、人並み以上にリサーチ案件に携わってきたように思うので、今回はリサーチのコツをまとめました。とりあえずWayback machine知らない人はリサーチノウハウ不足しているので読み進めてやってください。マインドセット論はさわりだけで、How論が中心です。

アジェンダはこちら。
1. リサーチ設計を行え
2. まずは詳しい人に相談しろ
3. 効率的にググれ
4. 便利サイトを知っておけ
5. URL管理、元ネタ管理を徹底しろ
6. あえて最後に一番大事なこと。リサーチからどんな示唆を出したいのか、明確にしろ

なお、マインドセット論やリサーチ設計の仕方の詳細はこちらの本など読めばよろしいかと思います。

外資系コンサルのリサーチ技法: 事象を観察し本質を見抜くスキル

外資系コンサルのリサーチ技法: 事象を観察し本質を見抜くスキル

 

リサーチ設計を行え

リサーチにおいて最悪なのは、長時間をかけ「色々頑張ったけど、見つかりませんでした」というものです。せめて「色々頑張った」ではなく、どのような情報ソースにあたり、どう調べた結果なのかを言えるよう、最初にそこを設計する必要があります。

この業界レポートを見て、過去資料を見て、記事検索を行います、ここまで3時間でやるので3時間後にいったんレビューポイント置かせてください、というところまでは上司と握ってからリサーチを始めたいところです。

リサーチわかりました!と0.5秒後にググり始める人は6時間後に、「どうなった?」、「あんま見つかってなくて・・かなり調べたんですけど、、」、「は?」となりがちなので気をつけましょう。

まずは詳しい人に相談しろ

リサーチの初手はなんでしょうか。

私は、「詳しそうな人に情報乞食する」だと思っています。似たようなリサーチはみんなやっているものです。「AIをつかった先進事例」なんて絶対すでに誰か調べています。最大のショートカットになるので、まずは類似案件やっていた同僚に聞くべきです。メールを出してから返信までリードタイムもかかるので、リサーチの論点と出したい示唆を明確にした時点でそれを書いてメール送信です。

少し話がそれますが、どう考えてもこれはデスクトップリサーチでは出ないな、という感覚も大事です。例えば競合の新規事業の主要KPIなんてネットに載ってるわけないじゃないですか。

調査対象の企業に勤めている知り合いに聞く、エキスパートインタビューを仲介会社を通じてセットするなどの方法を取りましょう。

経験上、結局詳しい人に聞いた・もらった情報が刺さる率が一番高いです。刺さる情報なんて、「新しい」か「生々しさ」のどちらかが尖っているときですから、インタビューで生々しさを尖らせた方がいいときもあります。

効率的にググれ

メールを送信したらネットという情報の海へダイブです。ググるときのわざをいくつか紹介します。

画像検索をつかえ

市場規模は、たいていグラフで載っているものです。画像で検索しましょう。

XX業界のベンチャー企業の一覧がほしい。「XX業界 カオスマップ」で画像検索しましょう。
画像検索はかなり時短で筋のいい情報にたどり着けるので、積極的に使いましょう。

筋のいいキーワードを発見しろ

市場規模を調べるときは、「XX業界 市場規模 億円」と検索しましょう。億円つけるとヒット率が上がります。(画像検索もお忘れなく)

またサブスクリプション、ではなく、SaaSと調べたほうが情報が多く出てくることがあります。業界のキーワードにいち早くたどり着きましょう。

フィルタ検索機能をつかえ

フィルタ検索、みなさんつかっていますか。

” ”をつけることで、” ”のなかに入っているキーワードを必ず含む検索結果を出すことができます。コンサル ”激務” なら激務を必ず含む検索結果になります。

一方で、 コンサル -  激務 なら激務を含まない検索結果に絞って表示できます。

また時間軸を設定しての検索も有効です。

XXX .pdfではPDF資料をメインで検索できます。なんちゃら総研、政府系レポートなどはこのPDF縛りでかなり手に入りやすくなります。

こういった小技もつかいましょう。

便利サイトを知っておけ

ベンチャー情報は、CrunchBase
• 1年前のWebサイトを見たいならWayBack Machine
有識者の知見を得るならSlide Share
• 基礎情報はやっぱり日経新聞日経ビジネス
• Bynameで企業調べるなら、テレビ東京オンデマンド

Crunch Base

いわずと知れたベンチャーのデータベース。いつ調達したか、誰から調達したか、いくら調達したか、いまSeriesいくつ?。こういった情報はまずCrunch Baseで調べましょう。VRベンチャーを一覧化したい、というときもここです。

またここってどんなベンチャー?という定性情報を探すときは、TechCrunchに取り上げられているケース多めです。

WayBack Machine

更新される前のウェブサイトが見たい、1年前のウェブサイトが見たい。WayBack Machineなら可能です。いつ更新されたのかもトレース可能です。

例えば、「1500社のお客様にご利用いただいています!」と記載があるWebページなら、1年前に遡れば、「600社のお客様にご利用いただいています!」、と書いてあったりするわけで、これでユーザーの増加数が調べられます。このような時系列を遡って調べるのに便利なのがWayback Machineですのでお見知りおきを。

https://archive.org/web/

Slide Share

Slide Shareにはどこぞのイベントでの講演会資料などが多く載っています。PPTでダウンロードできることも多いのでおすすめです。SaaSビジネス、チャットボット、自動運転、というホットなワードであれば、かなり質の高い資料を無料で手に入れられることがあります。チャットボットのこれとかめちゃくちゃ面白かったです。リサーチは置いといて、趣味で見るのにもいいかもしれません。 

https://www.slideshare.net/storywriterjp/uxwebmaster-camp-aiui

日経新聞日経ビジネス

大手企業の社長へのインタビュー記事など日経ビジネスはハイクオリティな内容が多いです。日経新聞もとりあえずその企業名でざっと検索すれば、大まかな動向は調べられます。

先進的な取り組みをリサーチするときは、日経ビジネスやクロステックなどは情報の粒度が細かく参考になることが多いので、私は検索ワードに「日経」を入れてググることもよくあります。

業界特化の雑誌も出ているので、積極的にそのあたりも見ていきたいですね。

盲点 「カンブリア宮殿

カンブリア宮殿はみなさん見たことあるでしょうか。

テレビ東京で放送している、情熱大陸的な・プロフェッショナル的な番組です。毎回、注目の企業を1つ取り上げ、ひたすら深掘りします。社長のインタビューはもちろん、創業時の理念、今までに味わった挫折、成功のきっかけなど見ていて普通に番組として面白いんですが、冷静に考えてこんなにリッチな内容で企業を知れる情報ソースは他にありません。

ライザップ、バルミューダ、タカタの種(ブロッコリーが世界に広まったのは収穫しやすいブロッコリーの開発に成功したこの会社の功績)みたいなニッチな企業からJR東日本、ゼンリンといった大企業まで取り上げているので知見を広める意味でもぜひ。

そしてテレビ東京オンデマンドで500円課金すると過去放送分を含め、すべてのカンブリア宮殿が見られるのでダウンロードしましょう。そして2倍速にすれば20分あれば見終わるので通勤中に見ましょう。

URL管理を徹底しろ

「再現性のあるリサーチ」。この情報の出典ってなに?と聞かれたときにすぐに答えられないコンサルタントを誰が信用できるでしょうか。大量に開いたGoogleのタブ、ぐちゃぐちゃにコピペしたURL。大惨事です。(私はこれで炎上した経験があります)

すぐにでも誰かにリサーチ結果を引き継げるような属人化していないリサーチが絶対的に大切です。その上で侮れないのがURL管理です。

Excelなどでリサーチ結果をまとめているとき、どの情報がどのURLからとったものか管理しきれなくなることがあります。個人的にお勧めしたいのは、ビジネスチャットツールの活用です。(SlackとかCiscoとかKintoneとかTeamsとか・・)

Excel(PPT・Word)に情報をまとめたらそこに番号を振ります。
「コンサル業界の日本での市場規模は7,659億円だ(*1)」といった感じです。
そしてビジネスチャットでチャンネルを適当に開設して、
「(*1)https://enterprisezine.jp/article/detail/11888」と投稿します。

これでガンガン番号をつけて投稿すれば、Excelとビジネスチャットを照らし合わせることで確実に出典がトレースできます。リサーチ結果をまとめたExcelの見栄えもきれいに保てますし、チャットだと見出しが表示されるので視覚的に情報を探しやすいのがおすすめポイントです。個人的には大量の情報ソースを管理するときはこの方法を取ります。

少ないURL管理で済みそうなときはExcelでCtrlと1を押してから「縮小して全体を表示する」を選択し、そこにURLを投げ込みます。些細ですがExcelの見栄えを保つコツです。

ご参考までに。

最後に、マインドセット

結局は、「リサーチからどんな示唆を出したいのか、明確にしろ」が最重要です。

そのリサーチでどんなことが言いたいのか、全体のストーリーの中で自分のリサーチはどんなメッセージを出すために行うのか、そこを正確に理解することが最重要です。

リサーチのタスクが振ってきた時点で、リサーチによって言いたい仮説があるはずです。たとえば「市場規模調べて」というときは、「市場として十分な規模があり参入すべき」という仮説を証明したい、といったようにです。単に市場規模は15億円でした。とだけリサーチ結果を伝えると、「それ小さすぎだし、仮説のファクトにならんし」とゴタゴタします。

15億円ですが、成長率はCAGRで40%もあります、などといいたいメッセージに即した周辺ファクトを集めることをこころがけましょう。
とてもその仮説を証明できそうにない、というときは確固たる反証リサーチ結果をもって即相談です。

なぜなら、ストーリー全体を修正する必要があり、全メンバーの作業に影響するからです。XX市場に参入すべき、を前提にストーリーを作っているのに、真逆のファクトしかないならストーリーの練り直しです。自分以外のメンバーのタスクに影響を与える要素が出てきた時点で早めの相談をしましょう。ファクトなんですからあなたが怒られることはありません。

ざっとこんな感じでございます。みなさまのリサーチのお役に立てることを願っています。

コンサルのケース面接・インターンで斬新な意見を言うコツ

コンサルファームの就活において切っても切り離せないのが「ケース面接」です。ケース面接とは、例えば「スタバの売上を上げるための施策を考えよ」だとか「地方の過疎化を食い止めるためにはどうしたらよいか」など、出されたお題の解決策を考えさせ、その人の思考力、地頭の良さを図ろうとするスタイルの面接のことです。

戦略コンサルの内定獲得プロセスは、ファームによって多岐にわたるものの普通はインターンへの参加権をゲットし、インターン参加者の中から特に優秀だった人材を採用するというプロセスが多いです。①インターン内定、②インターンで優秀さをアピールする、の2つが大きな壁です。

この2つの壁で特に重要なのが「ケース面接」でのアピールになります。

まず、インターンの参加権をかけた選考でもケース面接が行われるファームは多く、さらにインターンでも3~5日をかけてケース問題を解くことがほとんどです。ケース問題を制する者はコンサルの就活を制するのです。

どう対策したらいいのか

ロジカルシンキングの本や就活対策本は巷にあふれているので、その中からおすすめのものを最後にまとめておきましたので、参考にしてください。

これらの本を読んで対策をするのは最低限必要なことですが、それだけで他の参加者と差別化を図るのは困難です。みんなやっているので。

そんななかで他の就活生と差をつけるためのコツをお話しします。

勝手にお題の範囲を狭めるな

「渋谷にあるカラオケ店の売上を伸ばす施策を考えよ」という問題を例にとりましょう。売上=単価×人数、顧客層を年齢別・性別ごとに分解して考える・・・は基本なので置いておきます。最低限出来るように上の本を読んで勉強しましょう。

ここで言いたいのは、「従来通り、カラオケで稼がないといけない」とお題の意味を勝手に狭めていないか、という点です。「カラオケ店」の売上をあげればいいので、カラオケ店が1フロアを改装して楽器の練習ができるフロアにしてもいいですし、歌のうまい人が歌を教える歌の塾事業をカラオケの一室で開始してもいいわけです。

企業の強みを再定義せよ

ケースを考えるとき、人と違う意見を言うためには、「その企業の保有するアセット、強みは何か」という点を広く考え直すことです。カラオケ店の強みを考えてみましょう。

・都会の一等地に大きなスペースを持っている
・大きな音を出しても良い環境である
・音楽が好きな人が多く集まる場所になっている
などなどが挙げられます。

ダンスや楽器の練習ができる場にしてもいいですし、歌のうまい人が下手な人に歌を教える「歌を教える教えられるのマッチングサービス」を始めてみてもいいですし、都会の一等地という地の利を活かしサラリーマン向けにマッサージやランチ提供を始めてもよさそうです。

スタバの例でいえば、強みとして「最高の接客をするスタッフが揃っている」というものがあるとしましょう。であれば、「スタバが教える接客のコツ」というセミナーなどをいろんな企業で実施するというものも考えられます。

携帯キャリアであれば、店舗数が多い、進学や就職といったライフイベント発生中のお客さんが多い、といった強みがあります。ライフイベント発生の際に申し込みニーズが増える保険やローンといったサービスを店舗で行うということも考えられますね。実際に保険の申し込みができる携帯の店舗は増えています。

ユーザーのニーズにもっとも刺さるサービスを提案せよ

企業が提供できるサービスを広く考え直したところで、ユーザーのお困りごとは何か、それを解決したときにどの程度の売上が上がるかといった点を考えます。

順番としては、
①ユーザーのニーズ・ペインポイントは何か
②そのニーズを解決した際にどのくらい儲かるのか
③ニーズを解決するために企業はどんなサービスができるか
の3つの論点を順に解くべきですが、①のユーザーのニーズを考える時点で「カラオケをする人のニーズ」と主語を狭くしてしまう人が多すぎるので、③の企業ができることを広く広く考えておくことがアイディアマンになるコツです。

③を広く考えつつ、①、②を解いていきましょう。

1つだけ気を付けてほしいのは、原因・ニーズを特定する前に思いついた解決策のアイディアを言わないことです。原因やユーザーのニーズが分かって初めて解決策につながるので、それらが分かる前に解決策を叫ぶとそれはあなたがロジカルでない人の証明になります。

うまく原因やニーズの特定を誘導し、あなたが思いついたイチオシの解決策が刺さる方向に誘導しましょう。

お勧めの本一覧

とりあえずこれだけはやっとけ

東大生が書いた地頭シリーズだけは面接の前にやっておきましょう。私はこれやっただけで総合ファームの内定は獲れました。

 

ガチなロジカルシンカーを目指すあなたにはこの3冊を

コンサルファームで必ずと言っていいほどおススメされるロジカルシンキング、問題解決本。とっつきにくい文章と長いこともあるので、時間があり焦りが少ない大学2年生、3年生なり立てくらいの人におすすめです。

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

 
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

 
新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術

新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術